えいがのはなし 二十四の瞳 つづきのつづきのつづき

えいがのはなし 二十四の瞳 つづきのつづきのつづき

3)『上手い見せ方だなぁ』と唸らせるシーンがある。
これも非常に良く出来た映画的なシーンだ。
年老いた先生を招いて、久しぶりにささやかな同窓会が開かれた。
座敷に上がる前に生徒(元)たちが先生に見せたいプレゼントがあると伝える。
はたしてプレゼントとは何だろう?観客も興味をもってそのプレゼントの正体の登場を待つ
しかし観客にはすぐには見せてくれない。
次のようなカット割りだ。
障子が開く→座敷に上がる先生→先生を伺う生徒達の顔→先生の表情が変わる
しかし意地悪な監督は、プレゼントの正体をまだ観客には見せない。
観客は先生が何を見て表情が変わったのかまだ分らない。
先生を囲む元生徒たちのセミロング→先生のUPそして涙→先生が見ていたものフルショット
ネタばれと言うほどの事はないが、あえてその正体は明かさないが
日本間に似つかわしく、しかし先生を象徴するものなのだ。
これが洋間ではいけないのだ、日本間だから上手いのだ。
そして
この映画の主役の教師高峰秀子は決して優しいだけの子供思いの若い女性教師ではない。
高峰秀子らしいのだが、自宅にいるときには生徒の前にいるときとは違う性格も覗かせる
若い女性教師も自宅では母親の娘なのだ。これも上手い。
あくまでも理想像で見せ切らないのが、並みでない監督の仕業だ。
そんじょそこらの
単なる『御涙頂戴映画』とは一線を画す
随所に名匠の『技』が光る名作中の名作なのだ。

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