えいがのはなし Tough Ain’t Enough

えいがのはなし Tough Ain’t Enough

弊社のミーティングルームの壁には
無造作に『Tough Ain’t Enough』と書かれている。(書かれているというか、私が書いたのだが)
この言葉を聞いてピンときた人がいたら嬉しい。
この言葉を私が書いた後
誰か尋ねてこないか?ワクワク待っていた。
本当は
『コレ知ってます!』と言う言葉を聞きたかったが
誰もいなかった。
もしいたら、私はハイタッチしたであろう。
それでも何人かが
「コレなんですか?」
「どういう意味ですか?」と尋ねてきた。
私は唇元を緩めながら、こう答えた。
「映画好き?」
たいがい誰もが好きと答える。
「じゃー、ミリオンダラーベイビー観た?」
数名は観たと答えたが
この言葉の意味は分らないようだ。(ちゃんと映画を観なさい!)
ミリオンダラーベイビーの前半部分で
プロボクサー志望の主役の女の子が元ボクサーのクリントイーストウッドに、
「私はタフなの、それだけは誰にも負けない」と自分を売り込む。
イーストウッドは、すかさず答える
「Tough Ain’t Enough!(タフなだけじゃダメなんだ!)」
この言葉は、上を目指す者に対して共通したアドバイスになるだろう。
頂点を目指す者なら、タフなのは当然なのだ。
身体と精神のタフさ以外に、協力者や理解者も必要であるし、タイミングやチャンス、運も必要なのだ。
クリントイーストウッドは今まで
タフだが上に昇り切れなかった人間を嫌と言うほど見てきたのだろう。
その言葉には、重みがある。
しかし、女の子はその言葉の意味をまだ知らない。
彼女が頂上に登り詰めようとしたとき、悲劇が起こる。
サクセスストーリーのボクシング映画を期待して観た観客は、それ以降のストーリー展開にガッカリした者も少なくないようだが、
クリントイーストウッドが<ロッキー>みたいな映画を作るはずがないのだ。ご容赦願いたい。
映画のラスト近く
彼女が居なくなったジムの事務所の壁をカメラがパンする。
と、壁に『Tough Ain’t Enough』と書かれている。
ゾクっとしました。
勝者と敗者は『力』だけでは決めきれないのです。
リングの上の戦いと同様、人生というリングが全ての人に用意されているのです。

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